2022年6月にイタリア・ミラノで開催された、Milano Design Week 2022に出展いたしました。
ミラノ・デザインウィークは世界最大規模の家具見本市「ミラノ・サローネ」の開催に合わせてミラノ市内で企業やデザイナーが展示を行うデザインの祭典です。
グリーン・ワイズは「ライフサイクル」のテーマを花や植物のライフサイクル、新しい製品コレクション、そして持続可能でリジェネラティブなビジネスモデルを目指す同社のビジネス全般など、様々な角度から考察する展覧会をGREEN WISE Italy ShowroomとAtelier Natsuko Toyofukuの2拠点で開催しました。
なぜ“Life Cycle”なのか。
世界中で流通する花や緑の多くは化学系の農薬や肥料を使って育てられ、土壌や水質などの環境汚染や人体への健康被害を起こしていることはあまり知られていません。
これは、私たち消費者が傷一つ無い花や緑を通年求め、害虫が一匹もいない庭を求めることに起因しています。
消費者の要望に応えるために、生産地から店頭に並ぶまでの全ての段階で化学系薬剤が使用されているため、消費者への残留農薬の曝露も懸念されています。
もし「芽吹き~蕾~開花~結実~萎れ~枯れる」までの植物のライフサイクル全てに(多少の虫食いや穴があっても)人々がその魅力を体感すれば、今よりも環境汚染や健康被害の軽減につながるのではと期待しています。
私たちグリーン・ワイズは、自然のライフサイクルに合わせた環境共生型の暮らしをSlow Greenと呼び、提唱しています。
この第一歩として私たちは、植物がどこでどのように育てられ運ばれて来たのか、プロダクトがどこでどのように資材調達され、加工されて手元に届くのか、そのトレーサビリティやエビデンスをお伝えするよう努力しています。
また、自社だけでなく事業に関わりを持つステークホルダー(人間や社会のみならず、虫や植物、天候などの自然環境も含めて)に対して責任を取ってゆくために、自社で生産から企画、設計、制作施工、管理、運用、再生まで関わり、ビジネスライフサイクル全てに責任を持って取り組んでいます。
一例として、総合的病害虫管理 (IPM: Integrated Pest Management)を導入。さらに国際的な環境認証(SITES,LEED)を取得し客観的評価を得るようにしています。
今後は、顧客へ提供したサービスのアップサイクルやリユースにつながるビジネスモデル構築を目指しており、環境回復につながるライフサイクルアセスメントづくりにも取り組み始めています。
これからの社会は、自分たちで責任を持って管理・調整が可能で、顔の見える相手との地域に根ざした自律循環型の「ライフサイクル」を確立していくことが、より大切になっていくと考えています。
グリーン・ワイズは、この環境回復型の社会実現のために、一人でも多くの方々とのつながりを望んでいます。
そして皆さんとともに、もっとも大切なライフサイクルとは何かを一緒に考えてゆくことが出来れば、と願っています。
※SITES(正式名称:The Sustainable SITES Initiative)とは米国のGreen Business Certification Inc. (GBCI)が認証を行う、ランドスケープのサステナビリティを包括的に評価する環境認証です。
※LEED(Leadership in Energy & Environmental Design)は、同じく米国のGBCIが認証を行う、建築や都市の環境性能を評価する環境認証です。
Life cycle - A sustainable and regenerative future -
@ GREEN WISE Italy Showroom
Life Cycle -Indigo-
@ Atelier Natsuko Toyofuku
ジュエリーデザイナー・豊福夏子氏のアトリエでは、日本伝統の染色である「藍染」を通して、生命の循環をテーマにした展示を行いました。
アトリエには、日下田藍染工房がグリーン・ワイズのために特別に製作したオーガニックコットン生地を藍染めしたコレクションと、蓼藍の葉を収穫し発酵させ、藍建てして染色するという日本古来の伝統である藍染の工程を写真で展示しました。
藍とはなんなのだろうか・・・。
その問いは、日下田正さんとの出会いから始まった。
村田カメラマンに誘われて日下田藍染工房を初めて訪ねたのは、2020年6月下旬のことである。
出迎えて下さった日下田さんは、藍色に染まった爪先であちらこちら指差しながら工房を巡り、ゆっくりと丁寧に
藍、綿、染め、織りに纏わる技術、古今東西の歴史などについて語って下さった。
さらに、ご自身で白綿と茶綿の栽培まで手掛けられ、それを糸に紡いで機で織り、染めるまでの全てをこの工房で行わ
れていることが分かった。
それから日下田さんのもとへ足を運ぶ度に、知らないことが圧倒的に存在することに気付かされていった。
世界中で利用されている藍染めだが、古くは紀元前エジプト時代、日本においては弥生時代(BC.500~AD.300)まで遡ることができるそうだ。それはつまり、藍染めが、藍と生地となる植物だけでなく、染め分けに使う糊をはじめ、全てが自然物からつくられていたことを示している。
しかし、現代に目を向けると、インディゴカラーをはじめその殆どが石油由来の化学染料であると言われており、オーガニックコットン生地の染料に使われるケースもあるそうだ。
日下田さんとの出会いをきっかけに、普段履き慣れたデニムだけでなく、仕事や日常生活に関わる全ての由来やその行き着く先へと意識が広がり始めた。
自分がつくりだすもの、利用するもの、関係するものごと、
それらは、どの程度まで自然のライフサイクルに則っているだろうか?
有史以来、われわれの生活に深く根ざしてきた藍、
知らないではすまされない何かが、まだまだありそうだ・・・。
2022年5月6日
グリーン・ワイズ代表取締役 田丸雄一
Photograph:Elisa Biagi