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GREEN FORUM 第3回 デザイナー南雲勝志
デザイナーの南雲勝志さんに、ご自身が手掛けたプロダクトデザインから全国規模で展開されている「日本全国スギダラケ倶楽部(=スギダラ)」の活動状況まで多岐に亘ってお話を伺うことができました。
そして、今回もコーディネーターを萩原さんにお願いし、終始和やかな雰囲気の楽しい講演となりました。
南雲さんのデザイン活動は幅広く、家具などのプライベートデザインから街灯や橋などのパブリックデザインまで手掛けられています。 彼の生み出すファニチャーは、機能性を併せ持ちながらも、そのユーモラスな姿と個性的な存在感が、今にも動き出しそうな生命力を感じさせます。
「ストリートファニチャーなどのパブリックデザインとインテリア空間に置くプライベートファニチャーのデザインを考えるときの違いは何か?」という参加者からの質問に、パブリックデザインも無数にいるユーザーの一人という意味では、プライベートと同じように発想しているという話が印象的でした。
南雲さんが取り組まれている「スギダラ」の活動は、名前から受ける印象とは随分と違い、杉が現在置かれている状況とその未来を考えることは、日本人の本質的な姿を見つめ直し、自分たちの未来を考え直すことにも繋がるのだという深い意図に基づいています。詳しくは、スギダラのWEBをご覧下さい。
伺った話を抜粋すると、山からみんなで切り出した杉を橋の欄干や街灯の支柱などに使用することで、旧くなったら地場で交換が利き、且つ地域の人々の手で定期的にメンテナンスを行っていくことにより、地域交流の活性化と新たな杉の需要を継続発生させることを目指しています。
あるいは、小学生たちがデザインして製作した杉製の屋台を、その後自治体が引き取って街のイベントに使用するなど、楽しみながらも地域に貢献できる持続可能な仕組みを導入しています。 今日至る所で行われている商業・販促ベースの単発イベントと明らかに一線を画すその活動状況は、大変参考になるアイディアに溢れていました。
そして、今回のお話や写真を通して気づいたのは、南雲さんの作品や活動に触れる人たちみんなが、誰しも素敵な笑顔になることでした。それがまさに南雲さんの魅力であり、デザインの力なのだと強く感じました。
3時間近くに及んだ講演のあとは、テラスに出て懇親会を開き、皆さんとの交流を深めることが出来て、とても充実した一日となりました。
このGREEN FORUM全3回に共通して見いだされたのは、簡単便利・スピード重視など、現代生活で持て囃される価値観とは対極にある、結果が出るまでに気の遠くなるような時間と手間を掛けて真摯に取り組んでいるクリエイター達の姿でした。
そこには、妥協を許さない強い意志と共に、人と自然を思う優しさが溢れています。更に、皆さん大変ながらも心の底から楽しんで活動しているのがヒシヒシと伝わってきました。
だからこそ、多くの人が惹き付けられ、その作品や活動に触れるとやさしい笑顔になるのだと思います。
「木と生活のデザイン」というテーマでフォーラムを開催して感じたのは、「デザインとは伝える力」なのだということです。魅力あるデザインは、それをいつまでも大切にしていきたいという人の想いを育む力を宿しているようです。
素敵なクリエイターの方達や参加していただいた多くの方々との出会いを通して、デザインの持つ力を引き出しながら、手間暇が掛かるからこそ手に出来る価値(=経年価値)の大切さや緑に触れる喜び、楽しさの輪をもっともっと広げていきたいという気持が更に強くなりました。
今後もテーマや内容を工夫しながらGREEN FORUMを続けていきますので、皆さん宜しくお願いします。
最後に、これらのフォーラム開催に際し、陰の功労者として企画から運営全般までお手伝い頂いたマレイの岡本さん、後藤さんとコーディネーターとして場を盛り上げていただいた萩原さんにここで御礼を述べたいと思います。
有り難うございました。